日常の世間話的なことを、極めて個人的偏見で、つれづれなるままに書き連ねたエッセイ的雑記帳。
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■小次郎、破れたり!■
2003/06


 梅雨まっただ中、空はどんより曇って低い。
その空の低さに対抗してか、もっぱら近所を物凄い早さで低空飛行している物体がある。 「ツバメ」である。
ウチの近所といえば、生活排水路を「たぬき」が暴走するほど、自然に恵まれた環境である。この時期「ツバメ」が大群でウワンウワン飛び交っていても、なんら珍しくはない。「あんな早さでようぶつかったりせぇへんなぁ〜」と感心するものの、毎年の風物詩として黙視していた。
そんなある日、駅へと足を速めて路地を歩いていると、しとしと小雨が降るにもかかわらず、傘もささずに「虫取り網」を片手に右往左往している少年に出くわした。しかもランニングシャツに短パン。梅雨にしてはあまりにも不似合いな光景である。「この雨の中、虫取りでもあるまい?」
彼の目線の先には、例の低空飛行物体がヒラヒラと空(くう)を切っていた。
そう、少年の獲物は「ツバメ」だったのだ!なんと無謀な挑戦。
「小次郎、破れたり!ツバメは渡り鳥やから捕まえても飼えへんねんで…」と、心の中で呟きながら、駅へ向かう私のあゆみは、彼とすれ違って行った。
見方によっては「動物虐待」、しかしあまりにも真剣に、その「カッコイイ」「美しい生物」を手に入れたい!と見据える彼の目は、無邪気で純粋で「憧憬」さえ浮かんでいるやに見えた。そのせいか全く嫌みがなく、むしろ、微笑ましいくらいだった。
その昔、私も庭先に佇んでいた「メジロ」を、虫取り網で捕まえたことがあったが(今にして思えば保護鳥だった…アカンやん!汗;)、マッハスピードで飛び交うツバメの大群に、虫取り網1本で立ち向かうとは!ガキながら天晴れなヤツ!
果たして、少年はツバメを捕獲できたのだろうか? 見てみたかったなぁ、虫取り網の『ツバメ返し』
を…!